【日記】 2016年を振り返って

今年も残すところあと3日となりました。
割と平穏無事に過ごせた年ではありますが正直日々の平坦さに少し物足りなさを感じる年でもありました。
私の年齢ぐらいになると皆一様に日常生活は落ち着き始める頃です。
周囲の同年代も暮らしに充足、安定が定着してきているのが分かります。

しかし私は近年良くも悪くも変化を求めるようになりました。
それは自分の知慮の足り無さや経験不足を強く感じるようになったからです。
毎日限定された人や環境の中でのオートマチックな生活サイクルが知慮や経験の促進を保存的にしてしまっているのでは無いかと思うようになりました。
もちろん変化が少ない繰り返しの生活の中にも学習要素や成長要素は沢山ありますので変化の無い単調な生活自体を否定しているわけではありません。
熟練や洗練さを生むためには長年に渡る単調とも思える反復努力が必要です。
特に私のように漫画やイラスト、デザイン制作を生業としているモノにとっては単調な反復努力が実力向上には必須なものですから。

しかし新しいモノを取り入れようとする場合は変化に対応する努力とリスク発生の覚悟が必要になります。
以前に自分の仕事環境に大きな変革を加えた事があります。
それは漫画制作のデジタル作業化です。
私は10年前までは従来のアナログ方式である紙にインクとペンで漫画やイラストを描いていました。
しかしWEB媒体の普及、印刷環境の変化、漫画制作ソフトの向上、生産性の改善など得られる効果考えると漫画のデジタル制作化は当然の流れと感じました。

しかしいざデジタル制作に移行しようとしても紙とペンの制作になじんだ感覚は離れません。
微妙な質圧のコントールやペンタッチの摩擦などが気になり思うように線が引けません。
当初はままならないペンさばきに強いストレスを感じ漫画やイラストの全行程をデジタル化するなど無理だと思いました。
投げ出しては元も子もないのでとりあえず少しずつ慣れていこうと思い繊細なコントロールが必要な「線」は手描きで、着色、仕上げはデジタルと部分的に取り入れて制作していこうと考えました。
急がば回れ。
慣れるには根気よく時間をかけるしかありません。
長年にわたる練習、経験で得た手描きの感覚がデジタル制作移行の際にこんなに邪魔になるとは思いませんでした。
これは画力が高い人や経験がある人ほどその高いスキルがデジタル制作への移行の際に思わぬ高い障壁になってしまうと感じました。
また忙しく時間が無い人もその時間的制約が移行への障壁になります。
スケジュールが日々タイトな人は環境の変化を嫌います。
作業工程も当然ながら慣れ親しんだ確実な方法を選択します。
新しい挑戦は時間的制約やリスクがありますから保証確証が無いうちはなかなか出来ません。
私もデジタル制作移行当初、漫画やイラスト制作の労力が従来の手描き制作をはるかに超える時間と労力が掛ってしましました。
おまけにクオリティが半減してしまうなどさんざんな結果になった事を覚えています。
だから未だに長期間、週刊連載を持っている漫画家やベテランのイラストレーター達はデジタル制作に移行できないままアナログ制作を続けている人たちがかなりいます。(手描きの良さから離れたくないという理由が一番だと思いますが)
効率、能率を上げる目的でデジタル制作に踏み切ったのはいいがかえって効率、能率をさげてしまい再びアナログ制作に戻った人を私は多く知っています。

モノづくりをやっている身としては一つのモノを極めるという行為は大変すばらしい目標だと思っております。
それと同時に新しいモノへの挑戦もまたすばらしい事だと思います。

変化の激しい昨今に対応していくために今の自分には「挑戦」が一番必要だと感じています。
しかし最近年齢のせいか安定や変化を嫌う保守的な考えを選考する自分に気が付きました。
そしてこれは成長を阻害する要因になると思い始めました。
だからこそ山も谷も無かった平坦な2016年に物足りなさを強く感じるのです。

2017年は挑戦がテーマです。
変化や失敗を恐れずいろいろな事に挑戦していく開拓の年にしたいと思います。

 

 

ショウライ